心と体に効く、毎日の「ひと笑い」
~笑いは、最高の免疫力~

健やかに生きるために毎日の食事に向き合う

蒸し暑さが増しジメジメとした空気がまとわりつく初夏。体調を崩しやすいこの時期は、食欲不振や疲れが出やすく免疫力も落ちます。特に高齢になると、気候の変化による体への影響も大きく、ちょっとした不調が長引く原因になることもあります。

そんな中で、改めて注目されているのが「笑いの力」。ちょっとした会話で笑ったり、昔の話に思わずふき出したり。そんな日常の中の「笑い」が実は私たちの体や心にとってとても大切な役割を果たしていることがわかってきました。

医学的な研究でも、「笑うこと」がストレスの軽減や免疫力の向上につながるというデータが次々に発表されています。つまり、笑いを暮らしに取り入れることが健やかな毎日への小さな第一歩なのです。

目次

笑いは「自然の薬」心と体に届くその力

私たちが「笑う」とき、体の中では驚くほど多くの変化が起きています。ただの感情表現ではなく、科学的にも「笑い」は心身を整える力があると証明されているのです。

●脳のストレスを軽くする

笑うと、脳内で「エンドルフィン」「セロトニン」「ドーパミン」などの快感や幸福感をもたらすホルモンが分泌されます。これは、抗うつ薬にも似た働きをするとも言われており、不安や落ち込みを和らげ気分を明るくしてくれます。

また、「笑うこと」で交感神経の働きがやわらぎ、副交感神経が優位になることでリラックス状態に導かれます。これは自律神経のバランスを整える効果としても注目されています。

笑いによるストレス反応抑制

脳のストレスを軽くする

●血流改善や筋肉の刺激にも有効

大笑いをした後、顔やお腹が「痛い」と感じたことはありませんか?

実は、笑うことで顔や腹部の筋肉がかなり動いているのです。笑いには深い呼吸(腹式呼吸)と筋肉運動が同時に起こるという側面もあり、それが血流や代謝の改善にもつながります。

体を動かすのが難しい日でも、「笑う」だけで軽い運動効果がある。これは高齢者にとって非常に嬉しいポイントです。

笑いによる脳血流増加

笑いによる脳血流増加

「笑い」が免疫力を高めるって本当?

「笑いが健康によい」そんな話は昔からよく耳にしますが、近年では免疫や代謝といった体の根本的なはたらきにまで影響を与えることが科学的にも明らかになってきています。

たとえば、福島県で行われた大規模調査では、日常的に笑う頻度が高い人ほど高血圧・糖尿病・心疾患のリスクが有意に低いという結果が報告されました。毎日よく笑う人は、あまり笑わない人に比べてこれらの病気の発症リスクが15~25%も低かったのです。

この背景には、笑うことで副交感神経が優位になり、ストレスホルモンが減少することや、血流・代謝の改善、インスリンの働きの向上などが関係していると考えられています。

また、別の研究では笑いがNK(ナチュラルキラー)細胞という免疫細胞を活性化させることも明らかになっています。NK細胞は、ウイルスやがん細胞を攻撃する“体内の防衛部隊”のような存在で、笑いによってこの働きが一時的に高まるのです。

このように、笑いは感染症だけでなく、生活習慣病やがんなど、さまざまな病気の予防に関わる【自然の健康法】として注目されています。

日々の暮らしに取り入れられる“笑いの習慣”が、実はからだの中でとても大きな働きをしているのです。

笑いの頻度と生活習慣病との関連

笑いの頻度と生活習慣病との関連

●認知症のリスク低減にも「笑い」が効果をもたらす

最近では、笑いが脳の健康にもよい影響を与えるという研究結果も注目されています。

ある調査では、日常的に笑う頻度が高い人は、そうでない人に比べて認知機能の低下が緩やかで、認知症の発症リスクも低いという結果が示されました。笑うことで脳の血流が促進され、前頭葉の活性が高まることで、思考力や判断力の維持につながっていると考えられています。

認知症リスク

認知症リスク

グランドマストでの「笑いのある暮らし」

笑いは、意識して作り出すものというよりも日々の何気ない瞬間から生まれてくるものです。誰かとの何気ないやり取り、ゲームやおしゃべり、テレビ番組を見て思わず笑ってしまう……そんな自然な笑いが健康にも心にも大きな効果をもたらしてくれます。

グランドマストでも、入居者の皆さまが自分らしいスタイルで笑いを楽しんでいる姿が、日常のあちこちで見られます。例えば、麻雀や囲碁でのちょっとした駆け引き、リビングアテンダーとの軽い冗談、食事会での会話。それぞれが自発的に心からの笑顔を交わしています。

私たちは、そうした時間がより生まれやすくなるように集いや交流のきっかけとなる場所や機会を用意しているにすぎません。笑顔の中心にいるのは、いつも入居者の皆さまご自身です。

●日常の【笑いポイント】

【リビングアテンダーとの会話】

いつも顔を合わせるリビングアテンダーとの気軽なやり取りは、思わず笑顔になれるひととき。リビングアテンダーも「今日はこんなことがあって…」など、自然と笑顔を引き出す話題を大切にしています。

リビングアテンダーとの会話

【麻雀や囲碁などの交流の場】

勝った負けたで盛り上がる、冗談を言い合う。ゲームを通じて交わされる笑い声が、施設の空気を明るくしています。

麻雀や囲碁などの交流の場

【食事会やお誕生日会】

「この料理、美味しいね」と言い合いながら、笑顔があふれる場。人と一緒に食卓を囲むこと自体が、心の栄養です。

食事会やお誕生日会

【落語会、お笑い番組】

過去には「落語家さんによるイベント」も開催され、参加者からは「お腹の底から笑った」「また呼んでほしい」との声も。テレビのバラエティ番組なども、立派な「笑いのサプリメント」です。

落語会、お笑い番組

笑いは“処方箋のいらない健康法”

笑いは、特別なイベントがなくても、テレビや会話、日々の出来事の中にたくさん転がっています。1日1回でも「ふふっ」と笑うだけで、免疫力はほんの少しでも高まり、気持ちは前向きになります。

難しく考えず、「ああ、今日は誰かと笑えたな」「楽しかったな」と思えるだけでいいのです。

そして、それを積み重ねていくことが心も体も元気でいるための小さな秘訣になります。

これからも笑いのある毎日を大切にしながら、免疫力アップを一緒に目指していきましょう。

参考:

厚生労働省「こころの健康気づきヒント集」
http://www.jaish.gr.jp/information/mental/hintosyu.pdf

健康長寿ネット「笑いと生活習慣病予防」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/warai-kenko/warai-seikatsusyukanbyo.html

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