二つの場で、今の生き方ともう一つの新しい生き方がつながっていく。2020.09.30.

二つの場で、今の生き方ともう一つの新しい生き方がつながっていく。

‟マルチハビテーション”が、人生100年時代の暮らしを彩ってくれる。

久しぶりに会った友人が「マルチハビテーション、とてもいいよ」と言い、何のことかピンとこないので、「それ、何?」と聞き返す。「昨年から、二つの住まう場所を気ままに行き来して、自分好みで暮らしているのだよ」と友人。「昔からよくある『本宅と別荘』という暮らし分け?」と聞けば、「うーん、ちょっと違うかな」と考えこむようなしぐさをした後に説明してくれました。

― セカンドハウスとして別荘を所有するのはかつての富裕層のスタイルだった。関東だと、東京の都心に住んで葉山や軽井沢に別荘を持つ。関西なら、大阪に常住して週末に芦屋や六甲の別荘で過ごす。普段は都会で暮らして働き、週末に緑豊かな環境でリフレッシュしたり趣味に興じたりする。いま、シニア世代にはこの逆の人も増えてきた。自宅が都心から離れた郊外で、もう一つの住まいが便利な都会にあるというパターン。しかも、その二つ目の住まいを所有せずに、借りるという新しいスタイル。―

友人は東京の郊外で夫婦で暮らしながら、鎌倉にも高齢者向け住宅を借りていて、自分流にマルチハビテーションを満喫しているというわけ。ここまで話を聞いてイメージが徐々に湧き始めました。借りている住みかへ行くのは、非日常を体験するある種の旅みたいなものではないだろうか……。逆に、便利な都会のその住みかを日常として、今住む郊外の自宅を別荘に見立てるという発想もできそうな気がします。

シニアになってますますしたいことが増えてきた今日この頃。出掛けたい、街歩きしたい、映画を観たり美術を鑑賞したりしたい、もちろん、転ばぬ先のストレッチや運動も必要。友人との旧交を温めたり、新しい友人との縁にわくわくしたり……。日常と非日常、平日と週末。二つの住まいの間を、気分次第で「行く」と呼び「帰る」と呼ぶ。友人の話に触発されて、マルチハビテーションのシナリオが見えてきました。

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